エンバーミング 公衆衛生

よく、エンバーミングはアメリカが土葬を選ぶお国柄だから普及している、クリスチャンが多いから普及している、と言う声を聞きます。 それは嘘ではありませんが、正しい答えでもありません。アメリカのエンバーミングの普及には公衆衛生が深く関わっていると考えられます。

例えば、病院でお亡くなりになったほとんどの方は自宅へ帰ることがありません。 そして、一般会葬者を招いての葬儀で柩の蓋を開け、対面を望む場合には基本的にエンバーミング処置をすることが、決められています。それは、亡くなった方のお身体には目に見えないウイルスや病原菌等を考慮しての規制なのです。

日本では、ご自宅へ帰れる方もいらっしゃいますが、それも年々減ってきていると聞きます。その多くの理由が住宅的な環境的な問題のように感じます。

公衆衛生という言葉に敏感になりすぎてもいけませんが、お子様や高齢の方がいらっしゃる場合には、余計な心配などしないですむエンバーミング処置をひとつの選択として覚えているのも良いと思います。

エンバーミングのご相談は 株式会社くぼた

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REI KUBOTA

 

エンバーミング できない場合

私たちの身体は、機能が停止すると自然に還るよう分解をはじめます。その分解を一時的にとめる、または遅らせるのがエンバーミングになります。では、どのような方でもエンバーミング出来るのかというと、違います。例えば、腐敗が進行されている方や、一部の感染力の高い病気や、一部の確認されていない病気等が当てはまります。昔、ご家族のご希望でエンバーミングをした方がいますが、真夏の暑い日にお亡くなりになって1週間が経っていました。お顔を見分けがつかず、お肌は黒くなり、臭いも随分ときつくなっていました。ご家族には、エンバーミングの効果は出ないことを説明しましたが、どうしてもというご希望で処置いたしました。しかし、期待を裏切ることはなく、会葬者の方にお会いしていただくことはできませんでした。ご家族は小さな奇跡を信じていたのかもしれません。残念ながら、奇跡は起こらず辛い葬儀となってしまいました。

 

 

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エンバーミング 必要性

あまりエンバーミングをご存じない方は、エンバーミングが完全な施術と勘違いしていらっしゃる方もいます。亡くなった方は、残念ながらお戻りにはなりません。お姿もお元気だった頃に近づけるだけなのです。そう聞くと多くの方が、エンバーミングの施術料金や故人に切開を入れることに疑問を持たれてしまいます。

私の経験で、このような事がありました。

お孫さんを6人持つお爺様は、今までお元気だったのにも関わらずある日末期がんであることを病院で告げられました。様々な治療を受けましたが数か月後に帰らぬ人となりました。お写真では少しふっくらした優しい印象の方でしたが、私がご対面した時には痩せていて、眼もお口も開いていて、肌の色も変わっていました。そして、そのお孫さんたちがご対面した際には、変わり果ててしまったお爺様に泣き出してしまいました。私にはエンバーミングなしでお爺様を自然にするには限度があったので、処置のお話をすると価格にすぐには納得がいかないようでしたが、お孫さんたちのために施術をすることになりました。エンバーミング後に式場でお会いしたご家族やお孫さんたちの表情は、にこやかでお爺様の前でご生前の話で笑い声も聞こえていました。最後に、お孫さんたちが集まって私に言って下さった言葉が、「前のじいじとはちょっと違うの。前より、かっこよくなっちゃった。お姉さんはお医者さんなの?怖いじいじを直してくれたの?なんでじいじお化粧してるの?じいじ、生き返ったの?」お子様の言葉は率直であり、良い印象を持たれて旅立たれるお爺様のお顔を見るとホッとされてるように感じました。

エンバーミングは全ての故人や家族に必要な処置ではありません。しかし、様々な状況で必要になる場合もあります。

 

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エンバーミング 血液

前にお話ししたように、エンバーミングでは血液の管である、動脈と静脈を主に使用して施術します。動脈から薬品を注入して、静脈より血液を排出します。血液は身体の中でも腐敗が早いので、お亡くなりになってから早めの施術が一番自然なお姿へと近づけてくれます。お亡くなりになってから施術まで日にちが経っている方、血液の粘性が高い方や、亡くなる前に高熱が出た方、交通事故の方、等死因によって脈管にいる血液の状態は変わっています。血液がドロドロだったり、塊があったり、と自然なエンバーミングを妨げる原因ともなります。エンバーマーは、死因や亡くなった状況、そしてご遺体と対面して、一番良い薬品を組み合わせ清潔で自然なお姿に戻すよう分析をします。

 

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エンバーミング 切開

エンバーミングは亡くなった方のお身体に小さな切開を施します。なぜ、切開をするかというと、動脈から薬品を注入して、静脈から血液を排出するからです。ですので、どこを切開してもよいのではなく、なるべく太く、表皮に近い部分を選択します。それがCarotid arteryと呼ばれる頸動脈になります。しかし例えば、故人のご遺志でどうしても着せたいお洋服があって、胸元が開いている場合等、頸動脈では切開をどんなに小さくしてもやはり傷が残って見えてしまうため、エンバーマーは脇の下、二の腕の内側や太ももの動脈を選択します。私の経験では、この切開の小ささでは手先の器用で、細かい作業が得意な日本人の技術者の切開は世界でも1、2を争う程の技術だと感じています。残念ながら、ご病気や死因等によっては、やはり頸動脈を使用しないと自然なエンバーミングが出来ない場合もあります。その際には、修復技術を持ったエンバーマーに相談するのが一番良いと思います。

 

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