エンバーミング 臨床観察

ご遺体の様々な経緯で、腐敗が始まっている場合に組織部分の膨張が見られることがあります。これは、毛細血管の壁がもろくなっていることにより起こってしまいます。エンバーミングで薬品を注入し、薬液が大きな血管から小さい血管、そして毛細血管へと流れ、最終的には組織の内部へと入っていきます。ですので、痩せこけた方でも薬品が組織に入り込むため、内部から全体的にふっくらとさせることができます。しかし、上記で挙げたご遺体は、血管の壁が弱く多くの薬品が組織内へ入ってしまうので、水分をへらして強い薬品を使用し必要以上の膨張を防ぎつつ、お身体の防腐をしっかりとしていく必要があります。特に、重要な顔は皮膚が薄く、ご対面を考えると、体に使用した薬品とは別の配合で作成したりする場合もあります。

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Licensed Embalmer of Hawaii – REI KUBOTA

エンバーミング ドレイネイジ

エンバーミングというと「血を抜いて、薬品を注入する」というイメージを持った方が多いと感じます。正しくは、血液は抜くのではなく、薬品と入れ替える、というほうが近いのです。身体の中でも血液は、腐敗しやすいですし、変色の原因になったりします。浮腫の方は余計な水分を血液とともに体外へ出来る限り排出したほうが、お葬儀までの時間やご家族とのご対面に心配が減ります。しかし、痩せてしまっている方や、亡くなる前にウイルスや菌に感染している方や、高熱を出されていた方、冷蔵室に長く安置されていた方は血液のドロドロ度が高く、体外へ出ていきづらい場合も多く見受けられます。そこで、エンバーマーは血液をサラサラにする薬品を利用してしっかりと体外へ排出させていきます。このドレイネイジは、エンバーミングにとって大事な役割がありますが、エンバーマーにとっては感染症等と一番近く接触する場でもあるので、丁寧に器具を使用しながら、ケースを見極めて行う必要があります。

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Licensed Embalmer of Hawaii/Licensed Funeral Director of California   久保田 玲

エンバーミング 状況判断

エンバーミング処置の依頼をいただいて、状況の情報だけ入ってくる場合があります。例えば、バイクの事故です、ビルの4階から転落です、等。実際に故人にお会いするまで状況だけでは処置にどれくらいかかるのか、どこまで出来るのか、判断するのは難しいです。よく勘違いされるのが、故人と対面した葬祭ディレクターの方が、「修復が難しい」と言われる事が多々あります。しかし、実際に転落であっても正面のお顔が擦り傷程度の場合や、出血が多く顔中血だらけでも、洗えば切り傷は小さいこともあります。

 亡くなった時の状況だけでは判断しきれないことも多く、葬儀でご親戚や友人の方に対面できないままになってしまう事もあるかと思います。納棺士の方々は素晴らしい技術をお持ちですが、エンバーミングとは違うものです。エンバーミングでは、お顔の変色も薬品で戻せる場合や、赤紫になって腫れてしまっている肌への難しい化粧も可能にします。

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エンバーミングの歴史

弊社はエンバーミングの薬品や機材をアメリカからESCO社日本輸入販売元として日本のエンバーマーの皆様にお役に立てればと活動しております。             株式会社くぼた

ESCO社は、1886年の413日に、ドイツ生まれのビジネスマンDolge氏と薬剤師のHuncke氏合同会社として、ブルックリンのNYに設立されました。そして、1893年に現在の名前である Embalmers Supply CompanyESCO)に改名されコネチカット州へ移動しました。

当時はまだ現在の防腐のメイン薬品であるホルムアルデヒドはなく、エンバーミングの薬品は砒素を中心としていました。1889年にアメリカ初のエンバーミングの学校を設立し1891年にエンバーミングの薬品として、砒素、水銀、亜鉛を含有したものが一番良いであろう薬品として製造されました。

1898年に初めて、ドイツよりホルムアルデヒドが輸入され、ホルムアルデヒド含有のエンバーミング薬品が販売されたのは、1900年でした。

 北米で数あるエンバーミング薬品や備品を販売する薬品会社の中でも、ESCOは歴史が長く、新しい開発をしながらも昔からある、優秀な製品は今でも多くのエンバーマーに愛され使用され続けています。 エンバーマーには個人の好みや、使い勝手があると思いますが、ケースにより良い製品を正しく使い分ける事は、故人や愛する方を亡くされた家族へ我々エンバーマーが出来ることではないでしょうか。

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Licensed Funeral Director/Licensed Embalmer

REI KUBOTA

エンバーミング 外伝1

お化粧に関していつも思うのですが、多くの方が変色等を隠す際になぜか薄くなってもらいたい気持ちがせんこうするのか、白い色をのせてしまいます。そうすると、結局は下に隠れている濃い色がうっすら見えてきてしまいます。頭にカラーホイールを思い浮かべながら、隠すための必要な色を濃いほうから徐々に薄くしていくと自然に、しっかりと隠すことが出来ます。

病気や死因等でお肌に血色が感じられない場合にお化粧をある程度してから、赤やピンクの血色を出そうと重ねますが特に男性ですとお化粧をしている感じが出てしまうので違和感が出てしまいます。肌の色をのせる前に血色が出る部分に赤やピンクをのせてから、肌色を重ねます。

 エンバーミングをしなくても、お化粧をしていると、その故人と対話をしている気持ちになります。女性の方には口紅のひとさしを、男性の方にはクリームを、ご家族にしていただくと良いですね。

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カリフォルニア州葬祭ディレクター/ハワイ州エンバーマー 久保田 玲